日々の業務に追われ、改善の余裕がない
次のようなことが身近に起きていないでしょうか。
営業事務の山田さんは、日々の事務作業に追われる毎日。定型業務が多く、効率化の余地はありそうなのに、なかなか改善に着手できません。
「何から手をつければいいのかわからないし、余計な仕事を増やしたくないしなぁ……」
と溜息をつく山田さん。上司に相談しても、
「今のやり方で問題ないだろう」
と取り合ってくれません。
職場の飲み会で同期と愚痴を言い合ううちに、
「うちの会社、働き方改革って言葉だけで何も変わってないよね」
という話題に。
社内では「業務改善」が声高に叫ばれますが、肝心の現場の声は反映されていないのが実情なのです。
組織の問題を可視化し、改善への一歩を
『業務改善の問題地図』は、このような組織の問題点を浮き彫りにします。
著者の沢渡あまねさんと元山文菜さんは、数多くの企業や自治体の業務改善に携わってきた経験から、改善を阻む「アンチパターン」を特定。問題の所在を明らかにした上で、現場主導の改善を進めるためのヒントを提示しています。
業務改善を阻む「アンチパターン」とは?
本書で紹介されている「アンチパターン」は以下の4つです。
- 問題意識のズレ:経営層、middle management、現場の間で問題意識が異なる
- 無力感:現場の社員が「どうせ変えられない」とあきらめムードに
- 中間管理職のブロック:中間管理職が現場の提案を却下してしまう
- ソリューションありき:問題を見極めないまま、安易にツールを導入する
これらのパターンに心当たりのある方も多いのではないでしょうか。著者は、アンチパターンを生み出す組織の構造的な問題を分析し、改善のためのアクションプランを提案しています。
本書から学べる実践的な業務改善のヒント
『業務改善の問題地図』は、問題提起だけでなく、解決のためのヒントも数多く提示しています。例えば、以下のような実践的な手法が紹介されています。
- 部門間の意識合わせのために「景色合わせ」を行う
- 現場の「問題だと思っていい」という後押しをする
- 中間管理職の役割を見直し、改善へのサポートを促す
- まずは業務の可視化から始め、本当に必要なツールを見極める
- 改善に抵抗する「モンスター」社員へのコミュニケーション方法
どれも現場に即した、すぐに実践できるテクニックが満載です。
自分たちで変えていく、業務改善の第一歩
山田さんは『業務改善の問題地図』を読み、自分たちの職場の問題点が明確に見えてきました。
上司を巻き込みながら、少しずつ改善の輪を広げていくことを決意します。 同期とも情報を共有し、「自分たちの働き方は自分たちで変えていこう」と小さな一歩を踏み出しました。
働き方を自分たちの手に取り戻すために
『業務改善の問題地図』は、業務改善の難しさを認めつつ、それでも諦めずに一歩を踏み出すことの大切さを伝えてくれる一冊です。
組織の問題に臆することなく、自分たちの働き方を見つめ直し、よりよい方向へと変革を促す羅針盤となってくれるでしょう。 「業務改善」という言葉に振り回されるのではなく、自分たちの手で働き方を変えていく。 その壮大な航海の道しるべとして、本書をぜひ多くの方に読んでいただきたいです。